「川津さんっっ……」

私が名前を呼ぶと

振り返った彼女は驚いたような表情で

私の顔を見つめた。

「…え、奥平先生…っ。」

「…あの、今…新井くんのアパートから

出てくるのが見えたから…っ。」

「…先生も新井くんの所に?」

そう言った川津さんの顔が少し曇っていた。

「…あ、うん…ずっと学校休んでるから…

様子を見に来たんだけど…。」

「…あのっ、新井くん…大丈夫です。

私が休んでいる分のプリントとノート

持って行ってますから…。」

「…え…っ…

川津さん、ずっと来てくれてたの?」

「…はい…。」

そうだったんだ…。

私が…悩んでいた間ずっと…。

私…やっぱダメだなぁ…

もっと早く様子を見に行かないと

いけないのに…。

「…ありがとう…助かったわ…

でも、川津さん…大変だから

次から先生が持って行くね…。

じゃあ…気を付けて帰ってね。」

私がそう言って、川津さんに背を向けて

歩き出そうとした時…