「じゃあ、聞いてあげな……。」

ポン…

そう言って私の頭を軽く撫でた。

勝平は、ソファに座って

スマホを見始めた。

新井くんは、そんな勝平を黙って

じっと見ていた。

こんなの見せたくなかった…。

胸が苦しくなっていく。

それに…勝平がいるのに…話なんて

無理……

できるわけない……っ。

それに、もし…彼が私を想ってるなんて

勝平に知れたら…。

考えただけでゾッとする…。

絶対に隠さないと…

新井くんを守らないと…。

守りたい……。

「あ、新井くん……もう遅いから…

話なら、学校でまた聞くから…

今日は、帰りなさい…。」

私は新井くんにそう言って

何とか帰らそうとした。

「……先生…」

「……何?」

「……先生は…」

新井くんの瞳は何とも言えない瞳で…

ただ、私を必死に見つめていた。

彼が何を言いたいのかわかった…。

今、きっと…

私の事…最低だって思ってる。

彼の気持ちを…踏みにじった。

日向子が言った通り…

木っ端微塵…。

せめて…ちゃんと説明したかった。

こんな形で知られたくなかった。

彼の気持ちは粉々に砕け散ってる。

…恨まれても仕方ない。

「……この人は、私の婚約者です。」

私は、新井くんにハッキリと言った。