私が思わず声を上げてしまう。

そんな私を勝平は不思議そうな顔で

見ると、新井くんに手招きした。

「……あがって…俺は気にせず…。」

「……いや…」

「いいから、大丈夫だから…」

勝平は、半ば強引に

新井くんを引き入れるとリビングに

案内した。

私は、いつもの癖で靴を直そうと屈むと

新井くんのスニーカーはキレイに

揃えてあった。

私がリビングに向かうと寝室にいた紅が

新井くんの周りをグルグル回っていた。

「ニャア~ニャア……」

……紅……。

「……あれ、君さぁ…猫とか好き?」

勝平が紅がなついているのを見て

笑っている。

「……はい。」

「…へぇ……俺はあんまり好きじゃない。」

好きじゃない…。

「紗和…お茶を出してあげて…?」

「あ、うん……」

私がお茶を持って行くと勝平は

新井くんと対面で座っていた。

「……新井くん、どうぞ…。」

「…あ…どうも…」

新井くんは軽く会釈し

他人行儀に振る舞っているのがわかる。

私だったら…こんな状況で

新井くんみたいにはきっと

できないかもしれない…。

勝平は、私がお茶を置くと自分の

横に私を座らせた。