案の定……

10件以上、勝平から

不在着信が入っていた。

「……あぁ、やっちゃったぁ……。」

勝平から6件のLINEが入っていた。

私は、謝りのLINEを返信する。

すぐに既読になって

"後でまた連絡して"

そう一言だけ返信がきた。

「はぁ~怒ってるかな…?」

そう思って、また洗面台で

支度を始めようとした時……

「…あのっっ……。」

「…え…あっ、はいっ。」

再び呼び掛けられて振り返ると

今度は、まじまじとその男を見た。

そこには、厳つい男というより

爽やかな青年が私を見て立っていた。

昨日は、あの殴り合いがあまりに

衝撃的すぎて

恐くて顔なんか見れなかったから

わからなかったけど…。

君、いくつ……?

私より、ずっと、歳下だよね?!

「……え、あっ、ごめんね何?」

「あの、泊めてくれて

ありがとうございます……。

あと、猫も……

俺の所、ペット禁止だから

助かりました。」

そう言って、彼は私に深々と頭を下げた。

そんな彼の姿に昨日の光景が

嘘みたいで

何だか不思議な気持ちになった。

「……あっ、はい、うん、大丈夫です。」

私は、そう言って彼の顔を見ると

まだ少年ぽさが残るその顔で

はにかむように笑っていた。

……笑ってる。

あんなに怒鳴って、殴ったりしてたのに。

爽やかな笑顔……。

一体、どっちが本当なんだろう?