「……ううん、大丈夫…。」

「…本当に?」

「…うん…」

「紗和…こっち向いて…。」

「………」

勝平は、私を前に向き直らせると

私の髪の毛を優しく撫でる。

「……濡れてる…」

「…え…」

「…服もビショビショ……。」

「……あっ…」

勝平は、私の顔をじっと見つめている。

そして…私の首筋にそっと指を這わせて

ホクロを撫でた。

「…勝平…?」

私が勝平を見上げると彼はゆっくり

私から目を離した。

「……紗和…着替えた方がいいよ…

風邪引くから……。」

それだけ言うと勝平は

リビングのソファにゆっくり腰をかけて

スマホの画面を開いて見始めた。

何…今の…?

「……あ、そうだね…

着替えた方がいいよね……。」

私は、急いで寝室に着替えを

取りに行こうとした時…

「その服……っ。」

「…え?」

勝平がスマホの画面を見たまま話し出す。

「……そのワンピース可愛いね…。」

「……あ、ありがとう…。」

「…でもそのジャケットとは合ってない。」

ズキ……

「…そ、そうかな……。」