ピピピピピピピピピピピピ

6時に鳴る携帯のアラーム音。

社会人になってから

もうずっとこの時間に起きている。

「はぁ…夢かぁ……よかった。」

そうだよね、何だか変な夢だったなぁ。

私がいつものように洗面所に入ると

見知らぬ男が、私より先に

私の服を着て、洗面台に立っていた。

ぬ…あ…ぁぁぁんでっっ!

ゆ、ゆ、夢じゃないっっ!!!

あ……っ、思い出した…。

昨日、結局…

私は、連れ帰ってしまったんだ。

そして家で傷の手当てをして…

幸い、肩や肘のかすり傷だけで

軽いケガだった…。

多分、あの倒れていた男達のケガの方が

すごそう…。

それにずぶ濡れだったから…

お風呂を貸して…

着替えも貸して…

そうだ…

勝平のTシャツとスエット

貸してしまったんだ…。

なんだかんだで…終電なくなってて…

仕方ないからリビングのソファで

寝かせたんだっっ……!

冷たいものが私の背中を伝っていく。

こんな見ず知らずの行きずりの男を

部屋に一晩泊めるなんて……

私…

何やってるんだろう……。

殺されても襲われても文句、言えない。

こんな事、勝平に知られたら……っ。

勝平……?

あっっっ!

「電話っ!!」

「……電話?」

私の声にその男は振り返える。

その一瞬…彼と目が合い

彼は、少し動揺したような態度で

私から目を逸らした。

「あっ、ど、どうも…。」

「あ、おはよう……っ。」

何か…昨日と雰囲気、違う気がする…。

髪の毛…スプレーとれたんだ…。

勝平のTシャツ……ピッタリだ。

「…あ…あのっ……」

彼は、私に話かけていたが……

「……ちょっと、ごめんなさいっ。」

私は、それを無視するように

急いで寝室の携帯を手に取ると

履歴を確認する。