私がそう言って顔を上げて

よく見てみると

その男の頭や服も赤く染まっていた。

返り血じゃ…ないよね?

「あれ…え、もしかして…

それもスプレーですか?」

「………あぁ。」

そうだよね…。

良かったぁ……血なら、倒れてる男たち

死んじゃうよ……っ。

でも…あれ?なら何なの?

何でスプレーかかったのよ…。

ヤクザの抗争じゃなかったの……?

この人……何者なの?

何で猫を気にしてるの?

…どういう事?

「くそ……いてぇっ…」

ズルッ

そう言ってその男はその場に

座り込んだ。

「…えっ、大丈夫?!」

怪我??どうしようっっ……。

私がその男に駆け寄った瞬間…

「きゃー、人が倒れてるっっ!」

「誰か119番と110番してー!!」

公園の方で叫び声がした。

「…えっ…110番っ。」

このままだと…

この人どうなっちゃうの?

捕まる……っ。

「…立ってっっ!」

私は、その男を立たせると

自分の肩を掴まらせて歩きだした。

なぜだかわからないけど…

その時…

私にはこの人を

このまま放っておくことが

できなかった。