「…うん」

「紗和…

さっきは、ちょっと茶化したけど

紗和には澤山先輩がいるんだから…

ちゃんと幸せになりなよ?」

そう言って日向子が私を見ていた。

「……だね。」

「澤山先輩さぁ、紗和の事……

大好きだもんね。」

「え…そうかなぁ…。」

「そうだよ、澤山先輩…

紗和が登山部に入った時からずっと

好きだったみたいだよ。

卒業するとき…

やっと告白したかぁ~って

先輩達、裏で話してたんだよ?」

「え、そうだったの?!」

「だからさ、澤山先輩なら

紗和、幸せになれると思うよ。」

「…うん、そうだよね。」

そうだ…

私は、勝平と結婚する…。

「あー私も結婚したいっっ!」

「…アハハ」

「笑ったなぁ~!」

日向子の言うとおり…

彼と外で会うのは最後にしないと。

新井くんには気持ちに応える事は

できないと伝えないと…。

でも…

彼をまた孤独にしてしまったら…

誰も信用できなくなったら…。