「加賀爪先生…新井を退学処分にするなら

あなたも、部員にそれ相応の処分を

考えてらっしゃるんですね?」

今まで穏やかに話していた平野先生が

加賀爪に詰め寄るような口調になった。

「……え?」

加賀爪先生は、平野先生の顔を驚いて

見上げた。

「確か、ラグビーの部員は全員タバコを

吸っていたみたいですね。

吸い殻も、沢山ありましたしね。

それに…最初に手を出したのは

そちらの部員ですよね?

そんな大勢で、よってたかって

新井を殴った事については

どう責任をとるつもりですか?

まさか……

お咎めなしではないですよね?

そうなれば、もう試合どころの話では

ないですよ?」

平野先生は、加賀爪先生の顔をじっと

見ながらゆっくり話しを続けた。

まるで、それは蛇に睨まれた蛙みたいで

加賀爪先生の顔は、青ざめていた。

「……わかりましたよ、では…

新井の事はそちらに任せます。」

そう言って加賀爪先生はそそくさと

逃げるように会議室を出ていってしまった。