「紗和……

本当に家まで送らなくて平気か?」

「…うん、大丈夫、駅からすぐだから。」

「そっか…

じゃあまた、帰ったら連絡して。」

「うん…じゃあ、またね。」

そう言うと私は、ホームに入ってきた

電車に乗り込んだ。

プルプルプル~

ガシャン

ドアが閉まり、勝平に手を振ると

彼も軽く手をあげて応えた。

電車が動き出すと、さっきのプロポーズを

思い出す。

"結婚したらさ…

仕事、辞めてくれないか?"

仕事…辞める…。

「はぁ…。」

「………………っ!!」

えっ、あれ?

今…

私、ため息ついてなかった?

無意識すぎて…っ。

え…ちょっと大丈夫、私…?!

まぁ、急だったからちょっと

動揺してるだけだよ…。

そうに決まってる…っ。

だって、私…勝平の事好きだもん。

……うん、絶対そうだ。

そう強く思い直しながら私は

駅の改札を通り、帰り道を急いだ。