「……あ、ご、ごめんね……。

今から仕事だから…

支度しないといけなくて…っ。」

「俺も、今から仕事だけど?」

勝平は、私の方を見ずに話すと

リビングのカーテンを勢いよく開け

そのまま、ソファにドカッと座る。

その乱暴な動作で勝平が

すごく怒っている事がわかった。

「……うん、そうだよね…。」

「……何で、連絡しなかったの?

昨日、連絡するって言ったよね?

何度、電話しても通じないし…

アパートにもいない……。」

勝平は、私をじっと見つめながら

強い口調で話す。

「……ごめんなさい…連絡しなくて…

心配させて、ごめんなさい。」

私は、頭を下げて謝った。

その時……

「にゃぁ~、にゃ~ぁぁ……」

私の足下に昨日の子猫がすり寄ってきた。

「……え、猫?何で…?」

勝平がイラついた声を出す。

「…拾ったの、この前のデートの帰り道…

ずぶ濡れで可哀想だったから…。」

「……へぇ……」

彼は、子猫にまったく興味がないのか

そう言うとスマホの画面を開く。

「…うん、けっこう可愛くて…。」

私は、彼の目の前に立ちながら

チラッとリビングの時計に目をやると

「……今、7時だよ。」

私の行動がお見通しのように

彼が時間を言い放った。