トシノサ恋 ~永久に…君に~

「えっ、これ?」

「うん、そうだよ…!見たい?」

「あ、うん…!」

美桜ちゃんは、その段ボールを

一つ取り出すと、その箱を開ける。

「うわぁ…っっ!」

そこには、沢山の賞状、トロフィー

そして、楯が入っていた。

「…え…何の賞?…空手?」

「光兄は…

空手で全国一位だったんだ。

俺たち兄弟全員、父さんの道場で

ずっと、習ってたから…。

でも、光兄は、別格の強さ。

今は、もうやってないけど…。

道場もなくなっちゃったし……。」

「……そっか…

でも、こんなに沢山の賞…すごいよっ。」

その時…

チャラチャラチャラチャラ~♪

携帯の鳴る音がする。

「あっ、光兄だ…!」

恵くんは、電話で話し始めた。

「光兄ちゃんね、いつもこの時間に

電話してくるんだよっ。

ご飯食べたか~とか

ちゃんと寝るんだぞ~とか

ケンカするなよ~とか…。

何か、お父さんみたいでしょっ?」

そう言って美桜ちゃんは、笑う。

ううん、みたいじゃなくて

お父さんだよ…。

新井くんはきっと…

亡くなったお父さんの代わりを

してるんだと思うよ。

きっと親代わりするつもりなんだ。

この二人が大人になるまで…。

だから自分の高校生活を

犠牲にしようとしている……。