「あっ、私は、白川南高校の者です。

新井くん…あ、光くんの担任です。

新井くんは、いますか?」

そう言うとその女の子は

にこっり笑って、私を見ながら

家の中に手招きしてくれた。

「入っていいよ…。

今ね、光兄ちゃんバイト行ってるから

いないけど、待ってる?」

「…え、バイト?」

新井くん、バイトしてるの?

「うん、いつも夕方から

ずっとバイトだから…。」

ずっとって…何時までやってるの?

「おい、美桜(みゆ)っ…

何してるんだ?」

そう言って奥から出てきたのは

中学生くらいの少年だった。

「…あ、弟さんかな?」

私がそう言うと、彼は私を見て

ちょっと恐い顔をした。

え…っ何だろ……?

「あの…ウチ、金ないんで、訪問系は

いらないんで…帰ってくれませんか?」

えっっっ!訪問販売だと、思われた?

「アハハッ……!

恵(けい)兄ちゃん、バカっ…

うけるんだけどっっ!」

そう言って女の子がお腹を

押さえながら笑いだす。

「はぁ?バカってなんだよ…っ。」

「この人

光兄ちゃんの担任の先生だよ?」

「えっ!マジでっっ。」

「はい、担任の奥平 紗和です。」

彼は私の顔をまじまじと見ながら

「すみませんでしたっ!」

そう言って深々と頭を下げた。

あれ?何か…この光景…

デジャブ…

この前も同じ事があったような…。