私の手に力が入る。

新井くんは私の顔をじっと

見つめていた。

そして少しあきらめたように

ゆっくりと頷いて

「はぁ……わかったよ。」

彼は、やっと私に言ってくれた。

「…じゃあ…約束…。」

私は、小指を新井くんに向けて出す。

彼も私に小指を出した。

「……指切り…」

そう言って私は、彼の顔を笑いながら

見つめた。

「………」

新井くんは私の顔を切ない顔で

ただ、黙って見つめていた。

「…ちょっと、立たせてくれる?」

力が入らない体を支えてもらいゆっくり

立ち上り新井くんと並んで歩いた。

…そうだ…今ならちゃんと言えるっ……。

「…新井くん……」

「…え」

「この前は、ごめんなさい…。

家に来てくれたのに…

ちゃんと説明もしないで

帰らせてしまってごめんなさい。

私の軽率な行動で、新井くんの気持ちを

傷つけてしまって本当にごめんなさい。」

私は、新井くんに頭を下げた。

「…そんな謝らないでよ…謝られると

本当にそうなんだって…考えちゃうから。」

「……うん…」

「ねえ…本当に?」

「…え?」

「本当に…あの人と結婚するの?」