「…新井くん…何で…?」

「……え…」

「何で…いるの?」

さっき…全然話をしてくれなかったのに…

「やっぱあいつらの前だと

話せないから、ちゃんと話がしたくて…

それにもう遅いし…

気になって、追いかけてきた…。

そしたら…こんな事になってて…

…よかったぁ…本当に…よかったぁ…

紗和が無事で…

間に合って…よかったぁ…っ。」

そう言って新井くんは

私の肩にギュッと力を入れた。

……追いかけてきてくれたんだ…

「……助けてくれて…ありがとう…。」

「……うん」

「…でも…あんなに殴ったりしないで…

死んじゃうよ…。」

私は、さっきの新井くんを思い出しながら

彼を見上げた。

「……は??バカじゃねぇのっ…?!」

「……え」

「あんな事…されて…もし

もし、俺がいなかったら……っっ!」

そう言ってさっきより鋭い表情に

なっていた。

さっきの事を思い出すと

もちろん恐くてたまらない…

でも、それ以上に新井くんが心配…。

「……だ…だとしても…

暴力で解決するのは駄目なんだよ…

もし、あの二人が死んでしまったら

新井くん…

殺人犯になるんだよ?

そんなの…絶対…駄目……。

駄目だよ…。」

私は、まだ震えている体に力を入れて

新井くんの腕を掴んだ。

「……お願いだから…もう、暴力で

解決しようとしないでっ……。」