「話すよ、アイツのこと。
アイツのお母さんは病弱な人だったらしくて、アイツを産み落とした代わりに自らの命を失った。
アイツ 母親の顔も碌に見たことないんだって。
父親に育てられたけれど、そんな父親もある日 育児に嫌気が指して 段々と幼いアイツにあたるようになった。
父親の仕事の都合が付かずに 祖父母の家に預けられた時 普段 服で隠れて見えないところにたくさんの痣があることが発覚した。
これ以上 透哉に危険の手が及ぶのなら、と 祖父母は 透哉を引き取った。
小学校高学年の頃 祖父は持病を拗らせて亡くなった。
その後を追うかのように 1〜2年後 祖母も急死した。
そして、父親のもとに帰ったけれど 父親はいつの間にか再婚して 幸せな家庭を築いていて 家に帰っても居場所がなかったらしい。
だから、今だって 家に帰らずに 倉庫に住みついてるだろ?」



