【元姫の決心】


「何もないのに君は泣くのか?」

顔を上げると、そこに居たのは校長先生だった。

私の目線に合わせて、しゃがんでくれている。

獅龍の初代総長で、現獅龍副総長 "琴野麗夜" 君の叔父さん。

ニコリと微笑んだかと思えば、直ぐ 真顔に戻った。

「言えば良いのに。」

私は口を噤んだまま。
うんともすんとも言わない。

「強要はしない、言いたくないならそれで良い。」

"まぁ、言ってくれた方が アイツ等に口出しできるから 有難いんだけど"

"それに君も幾分かスッキリすると思うけど"

なんて、ボヤきながらも 余計な詮索はない。