【元姫の決心】


「なぁ、美嘉。
本当に静香について 何も知らないか?」

私は頷いた。

「なんで、そんなことしか 言えねーんだよ!!!

お前には がっかりだ!!!」

この男、本当 何処に逆鱗があるのか 分かったもんじゃないな。

「何か言えよ!!!」

そう言って、私に詰め寄ってくる。

辛かった。
今まで、体験してきた何よりも。

透哉のその目が、私には辛かった。

今まで、透哉は その目をありとあらゆる敵に向けてきた。

だけど、それはもう違う。

今の透哉にとっての悪は、私なんだ。

そう思うと涙が出てきて………。