そして迎えた本番、わたし達のステージは、拍手の中でスタートした。

本当に気持ちが良かった。

彼と歌って、一躍わたしは注目の的となった。

わたしは鼻高々で、彼も本当に楽しそうだった。




しかしそんな時間も、長くは続かなかった。

文化祭が終わった次の週、健ちゃんが引っ越してしまったのだ。

別れの日、わたしは1番の宝物を彼にあげた。

赤色の宝石のついた、ペンダント。

彼はそっとそれを握り、

「ずっと大切にする」

と言ってくれた。そして、

「次に会う時は、絶対に歌手になってろよ」

と、言って寄越したのだ。

わたしは、涙ぐみながら頷いた。