イジメ返し３

「あっ、やっぱり桃ちゃんだぁ～！」

幼稚園時代とは変わらない澄んだ瞳が、カンナの姿を捕らえた瞬間大きく見開かれる。

「え」

混乱しているのか、手元の本を机に落としてしまった格好のまま桃ちゃんは呆然とカンナを見つめている。

「か、カンナ……ちゃん？」

「覚えててくれたんだね。嬉しい～！」

「嘘……、どうして……？どうしてカンナちゃんが……？」

「びっくりした～？実はね、カンナ転校してきたの。隣のクラスだからよろしくねぇ！」

すると、桃ちゃんは急にうつむいて肩を震わせた。

「……あれ？どうしたのぉ？」

そう聞き返したタイミングで桃ちゃんは弾かれたように立ち上がってカンナの元まで駆け寄った。

それはあっという間の出来事で。

カンナの体は桃ちゃんによってふわりと包み込まれる。