表情がみるみるうちに曇っていく。
「どういうことだ。君たち、西園寺さんに嫌われてるのか?」
「そんなはずないじゃないですか!社長、とりあえずあっちへ行って飲みましょう!ねっ!」
おかしな空気を察した美波の父親が社長を強引に連れて行ってしまった。
まだ言いたいことはあったけれど、社長がカンナの言葉を信じていたのは明らかだ。
残念。墓穴を掘っちゃったねぇ?
クスっと心の中で笑った瞬間、美波の母親は口から手を離してカンナの頬をつねった。
「嘘つきの悪い子には罰が必要ね」
12年前とまったく同じセリフを吐いた美波の母親は指に力を込める。
「バカな子。どう?やり返した気にでもなった?でも、残念。アンタみたいな子供の言うこと、誰が信じると思ってんの?」
美波の母親は頬を引っ張るようにカンナから手を離した。
相手を痛めつける方法をよくわかっているらしい。



