イジメ返し3

重たい瞼をもちあげる。

ここは一体どこなの……?

見覚えのないむき出しの細長い蛍光灯が視界に飛び込んでくる。

足先が冷たい。まるで水の中に足だけ突っ込んでいるみたいだ。

首をわずかに右に傾ける。

視線の先には和式トイレがある。

ああ、そうだ。ようやく思い出した。

カンナはさっきまで美波に屈辱的なイジメにあっていたんだ。

床に手をつき、ゆっくりと体を起こす。

全身が痛い。

苦しくて暴れたせいかいたるところに小さなアザができている。

「やり慣れてるなぁ」

床にバケツが転がっている。

全身にかけることはせず、膝から下にだけ水をかけられている。

そのせいで足先だけが冷たかったんだ。

革靴の中はびっしょりだ。

全身にかけずにわざと足だけに水をかけたところに美波が相当イジメ慣れしていることがうかがえる。

トイレの床にはバッグの中身も散乱していた。

化粧ポーチの中身は全て床にぶちまけられ、粉々になったファンデーションが散らばっている。

一つ一つをゆっくりとした動作で集めながらバッグに押し込んでいく。

ほとんどもう使い物にならないだろう。

カンナの持っている物全てを破壊していった美波はさぞご満悦だろう。

そのとき、ふと近くに落ちていた学生証に目がいった。