髪の毛をすべて引きちぎられてしまうかと思うほどの頭皮の強烈な痛みに目の前に星が飛ぶ。 ものすごい力だった。まるで遠慮などない。 美波はそのまま力を込めて自分の方向に引っ張り上げた。 「痛い!痛いよ、美波ちゃん……!」 机の端を両手で掴んで必死にこらえると、パッと手が離された。 その瞬間、立ち上がった美波はカンナの横に来ると、椅子の足を思いっきり蹴り飛ばした。 その反動で椅子から転がり落ちるカンナを見下ろす美波。 その目の淵は赤黒くなり、瞳は怒りに燃えていた。