翌朝登校してみると、美波の機嫌は最悪に悪かった。

教室に入ってくるなり周りを威嚇するように睨み付け、体全体で怒りの感情をあらわしている。

ピリピリとした雰囲気に教室中の空気が悪くなる。

クラスメイト達は美波の怒りの火の粉が自分に飛び火しないように身を縮めている。

「美波ちゃん、おはよぉ~!」

バッグを机に叩き付けて乱暴に椅子に腰かけた美波にあえて明るく挨拶をする。

もちろん、無視だった。

振り返ることもせずただ苛立ったような荒い呼吸を繰り返している。

そして、ふいに振り返った瞬間、美波は何のためらいもなくカンナに手を伸ばして髪の毛を鷲掴みにした。