イジメ返し3

美波は覚えているんだろうか。

ママが自殺したのが誰のせいか。誰がキッカケでママを追いつめることになったのか。

直接手を下したわけではない。

暴力を振るったこともない。でも、ママの心を壊した。

イジメ、脅迫、悪口や陰口、仲間外れ。高圧的な態度。冷たい視線。

間接的にママを殺したのは誰のせいか、覚えていないなんて言わせない。

「美波ちゃん、幼稚園時代のことよーーーく覚えてるんだねぇ~?」

「まぁね。でも、まさかアンタが転校してくるなんて思ってもみなかったわ」

「カンナもまさか美波ちゃんがこの学校にいるなんて思わなかったよぉ~!」

「ふーん。とか言って、わざとだったりして」

鋭い視線が突き刺さる。

「わざとってぇ?」

「アンタってバカな振りしてるけど、実はあざとい子だもんね。あたしは簡単には騙されないから」

くすっと不敵に笑った美波に微笑む。

よくわかってるね。

でも、あざとさに関してはきっと美波ちゃんには負けるよ?

ううん、美波ちゃん以上の人なんていないかもね。

「えー、どういうことぉ~?あざといってなぁに~?」

「そんなの自分で考えれば?」

美波はそう言うと、会話に飽きてしまったのか一方的に話を切り上げて立ち上がった。

そのまま教室を出て行く美波の背中をジッと見つめる。