「ねぇおじさん。今すぐ逃げた方がいいよ~。カンナ、ハメられちゃったみたいだから」
「今さら何を言ってるの~!どこへ行く?まずは食事かな?それともカラオケ?」
「カンナ、多分美人局(つつもたせ)にされちゃったっぽい」
「え」
現れた美波はカンナを見てニヤリと笑った。
その隣に立っている砂羽はスマホを構えている。
目が点になっているおじさんが慌てたようにカンナの肩から手を離す。
すると、かわりに翔平がおじさんの肩を抱くように腕を回した。
「ちょっと、それはヤバくねーか?高校生に手を出しちゃうのは」
「えっ、な、なんだ君は!」
「薬指の指輪……って、もしかして結婚してんの?子供もいる?こんなこと家族にバレちゃったらヤバいよねぇ。離婚か~?慰謝料がっぽり持ってかれちゃうねぇ。あっ、もちろん会社にも黙っておくわけにはいかないなぁ。いままで必死になって築き上げた社会的地位も底辺まで落っこちちゃうなぁ。どうすんの?」
「お前ら、警察に突き出すぞ!?」
「お好きにどーぞ。さっき、おじさんがやってたこと全部動画に撮ってるから。アプリでアンタが送ってきた卑猥なメッセージも画像も保存済みだから。警察に駆け込むなり勝手にすればいいだろ?」
「な、何が目的なんだ!!」
「何がって、何だろうねぇ。俺の口からは言えないなぁ。ただ、自分がやったことの責任は自分でとらないと」
翔平の言葉におじさんががっくりと肩を落としてうなだれた。
その瞬間、翔平は砂羽に動画を止めるように合図を出した。



