「ごめんなさい……ごめんなさい……!」

冷たい廊下の上にうつぶせになっている男子の背中に、翔平は上履きを乗せてグリグリと足を動かしていた。

「お前のくせぇ香水の匂いなんて嗅ぎたくねぇんだよ!デブのくせに女ができたからって色気づいてるんじゃねぇよ!」

翔平が行っている残虐な行為をとめる人間はいない。

ほとんどの生徒、特に男子は教室に飛び込み見て見ぬふりを決め込む。

それどころか自分の安全を確保できるところで、その様子を楽しそうに眺めている生徒もいる。

振りかぶった翔平の爪先が男の子の鼻にクリーンヒットした。

「うぅ……」

男の子の鼻から真っ赤な鮮血がポタポタと白い廊下にシミを作っていく。