「あっ、もう着いちゃった~!なんかあっという間だったなぁ~!」

家の前まで着くと、カンナはにこりと桃ちゃんに微笑んだ。

「桃ちゃん、色々ありがとう~!じゃあ、またねっ!」

「カンナちゃん、待って!!」

門扉に手をかけたカンナを桃ちゃんが呼び止める。

「ん~?なぁに?」

「手紙書いたの。読んでね」

「あっ、そうそう。カンナも桃ちゃんにお手紙書いたの!あとで読んでね~!」

ハッと思い出してポケットから取り出した封筒を手渡す。

「じゃあね!」

「カンナちゃん……!」

目を潤ませている桃ちゃんにカンナはにっこりと微笑んだ。

「どうして泣くの?」

まるですべてを悟っているかのようにボロボロと涙を流す桃ちゃん。

「うっ……カンナちゃん……」

「お手紙ありがとう!バイバイ、桃ちゃん!」

カンナは泣いている桃ちゃんを置き去りにして玄関を開けて中に入った。

まだ外では桃ちゃんがカンナの名前を呼びながら泣いている。

「バイバイ」

カンナは振り返ることなく最後にそう呟くと、玄関の扉を閉め鍵とチェーンをかけた。