「マジ、逆恨みもいいところだし」
部屋に入りフンっと吐き捨てるように独り言を呟く。
ベッドの上にカバンを放り投げた時、ふいに床に転がるいくつかのペットボトルが目についた。
先週か先々週に飲んだ覚えのある飲みかけのペットボトルの中には浮遊物が沈殿している。
「うわ、汚ねー」
ペットボトルの中には緑の粒々としたカビや白い胞子のようなものが浮かび、気持ちの悪い膜まで張っている。
ペットボトルは中を水で洗ってキャップを外してラベルを取ってからゴミに捨てる決まりがある。
でも、これを洗うのは絶対に嫌だった。
あたしはそれを両手で拾い上げると、北側の窓を全開に開けた。
そして、そのペットボトルを窓から隣の庭に躊躇することなく放り投げる。
里子が死ぬまでは母親が毎日のように手入れして綺麗だった花壇の花は無くなり、今は雑草がうっそうと生い茂っている。
父親が元銀行員で母親が専業主婦。
暇があると家の花壇の手入れをしている母親。
手先が器用だったのか、里子のマフラーて手袋は母親の手作りだと嬉しそうに話していた。
15時にはクッキーやホットケーキを焼いているような匂いが窓から漂ってくる。
その度にあたしは心の奥底から憎しみや怒りの感情が沸き上がってくるのを感じた。
あの子はあたしの言うことならなんだって聞いたし、イジメるつもりなんてなかった。
ただあの日、里子と里子の母親がうちにやってきた。
『これ、美波ちゃんに。首元がいつも寒そうだなって思っててね。最近寒くなってきたから風邪をひかないようにって。それと、ちょっとたくさん作りすぎちゃったからよかったら食べてね』
母がいない隙を見計らってやってきた里子の母親はあたしに里子とおそろいの色のマフラーと手袋、それに綺麗にラッピングされたクッキーを持ってきた。
『おばさんの手作りだからちょっと不格好だけど、よかったら使ってね』
その笑顔がカンナや桃の母親の顔とリンクした。
どうして、どいつもこいつも他人の子にまで優しくしようとするの?
自分の子供にだけ目を向けていればいいのに。
わずかにうつむくと、もう何か月も前に開いてしまった靴下の親指部分が目についた。
中1のとき以来買ってもらえない薄汚れた靴下。
『ねぇ、来年アンタんちの子卒業でしょ?お古でいいから中学の制服とジャージ絶対にうちに頂戴ね。あっ、カバンもあったら一緒にお願い。ちゃんと予約したからね!約束よ!?えっ?あげられない?なんで~?ケチなこと言わないでよ!アンタがパート先で備品盗んで売ってるって電話してもいいの?パート先に居づらくなるでしょ?えっ?そんことしてない?そんなのあたしには関係ないの!いいから、頂戴ね!じゃあ!』
今着ているこの制服だって新品ではなく母が知り合いから奪い取ったもの。
ジャージもカバンも全て。母はあたしの気持ちなんてひとつも考えてくれない。
「……ちょっと待ってて」
あたしは里子と里子の母親にそう告げると、一度リビングへ行き、テーブルの上に置かれたキッチンバサミを掴んだ。
それを右手に掴んで再び二人の元へ向かう。
部屋に入りフンっと吐き捨てるように独り言を呟く。
ベッドの上にカバンを放り投げた時、ふいに床に転がるいくつかのペットボトルが目についた。
先週か先々週に飲んだ覚えのある飲みかけのペットボトルの中には浮遊物が沈殿している。
「うわ、汚ねー」
ペットボトルの中には緑の粒々としたカビや白い胞子のようなものが浮かび、気持ちの悪い膜まで張っている。
ペットボトルは中を水で洗ってキャップを外してラベルを取ってからゴミに捨てる決まりがある。
でも、これを洗うのは絶対に嫌だった。
あたしはそれを両手で拾い上げると、北側の窓を全開に開けた。
そして、そのペットボトルを窓から隣の庭に躊躇することなく放り投げる。
里子が死ぬまでは母親が毎日のように手入れして綺麗だった花壇の花は無くなり、今は雑草がうっそうと生い茂っている。
父親が元銀行員で母親が専業主婦。
暇があると家の花壇の手入れをしている母親。
手先が器用だったのか、里子のマフラーて手袋は母親の手作りだと嬉しそうに話していた。
15時にはクッキーやホットケーキを焼いているような匂いが窓から漂ってくる。
その度にあたしは心の奥底から憎しみや怒りの感情が沸き上がってくるのを感じた。
あの子はあたしの言うことならなんだって聞いたし、イジメるつもりなんてなかった。
ただあの日、里子と里子の母親がうちにやってきた。
『これ、美波ちゃんに。首元がいつも寒そうだなって思っててね。最近寒くなってきたから風邪をひかないようにって。それと、ちょっとたくさん作りすぎちゃったからよかったら食べてね』
母がいない隙を見計らってやってきた里子の母親はあたしに里子とおそろいの色のマフラーと手袋、それに綺麗にラッピングされたクッキーを持ってきた。
『おばさんの手作りだからちょっと不格好だけど、よかったら使ってね』
その笑顔がカンナや桃の母親の顔とリンクした。
どうして、どいつもこいつも他人の子にまで優しくしようとするの?
自分の子供にだけ目を向けていればいいのに。
わずかにうつむくと、もう何か月も前に開いてしまった靴下の親指部分が目についた。
中1のとき以来買ってもらえない薄汚れた靴下。
『ねぇ、来年アンタんちの子卒業でしょ?お古でいいから中学の制服とジャージ絶対にうちに頂戴ね。あっ、カバンもあったら一緒にお願い。ちゃんと予約したからね!約束よ!?えっ?あげられない?なんで~?ケチなこと言わないでよ!アンタがパート先で備品盗んで売ってるって電話してもいいの?パート先に居づらくなるでしょ?えっ?そんことしてない?そんなのあたしには関係ないの!いいから、頂戴ね!じゃあ!』
今着ているこの制服だって新品ではなく母が知り合いから奪い取ったもの。
ジャージもカバンも全て。母はあたしの気持ちなんてひとつも考えてくれない。
「……ちょっと待ってて」
あたしは里子と里子の母親にそう告げると、一度リビングへ行き、テーブルの上に置かれたキッチンバサミを掴んだ。
それを右手に掴んで再び二人の元へ向かう。



