イジメ返し3

放課後、美波とともに屋上へ上がったあたしはポケットの中に無造作に押し込んであった千円札を引っ張り出した。

「1、2、3、4、5、6……」

財布から札を抜いているときに数をかぞえている余裕はなかったけれど、思った以上の収穫だ。

5限の体育の授業中、あたしは周りを気にしながら教室へ向かい、クラスメイトのバッグを漁った。

教室を離れる際、貴重品は常に身に着けるか担任に預ける決まりになっている。

でも、体育の時間に貴重品を身に着けておけるはずもないし、担任にわざわざ預けに行く人もほとんどいない。

それに目を付けたのが美波だった。

『体育の時、みんなの財布からパクっちゃいなよ。そしたら今日もその金でなんか買ってSNSにアップできるじゃん』

『でも……もしバレたらヤバくない?』

学校でクラスメイトの財布から札を抜くなんて考えたこともなかった。

『大丈夫だって。あたしも協力するしさ。二人で一緒にトイレに行くって言って体育館でようよ。で、アンタが走って教室に戻る。あたしはアンタがいない理由を適当に話しておくし。疑われたとしても、途中で体育館を出たのあたしとアンタ二人だし。もしバレても二人の連帯責任だし』

『本当に大丈夫かな……?』

『大丈夫だって。誰かが盗まれたって騒いだとしても、貴重品を身に着けておかなかったのは自己責任なんだから。そいつのせいじゃん。もし疑われても証拠がないし。つーか、誰かがあたし達のこと疑おうもんならあたし黙ってないし』

『そっか。そうだよね』

美波の言葉は心強かった。

美波も共犯だ。そう思うと罪の意識が半減した。

あたしはほぼ全員のクラスメイトの財布から札を引き抜た。