イジメ返し3

「いらっしゃいませ~!」

突然背後にいた店員が声を上げる。

ビクリと体を震わせた時、店員はあたしの横を通り過ぎ、入ってきた客の元へ歩み寄った。

「お久しぶりです、前島様。本日は何かお探し物でしょうか?」

「えぇ。週末にパーティがあるの。おすすめのバッグってあるかしら?いくつか見繕ってもらえる?」

「もちろんでございます!」

見るからに小綺麗なお金持ち風の太客に店員は笑顔で接客を始める。

バッグの紐をギュッと握り締める。

二人いる店員のうち、一人は接客をしている。

もう一人はレジの奥に入り在庫チェックをしている様子だ。

やるなら今しかない。

手が震えた。背中にじんわりと嫌な汗をかく。

けれど、頭の中で声がする。

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西園寺カンナになんて絶対に負けられない。

もう、今しかない!

あたしは衝動的にブレザーの中にバッグを入れ、腕とわき腹でバッグを固定した。

ブレザーのボタンを閉めて何食わぬ顔で店を後にする。

息が荒くなる。

度々振り返り店員が追いかけてこないか確認したけれどそんな様子はない。

「やった……。やったっ!成功した!」

あたしは駅ビルから出ると全速力で家に戻った。