イジメ返し3

「翔平‼大きな声を出すにはやめなさい!ご近所さんの迷惑よ。それに、その髪の毛も……。いつになったらちゃんと黒く染めるの?」

「うるせぇな!」

「それとね、翔平に大切な話があるの。あなたの学校でのこと。今日の夜、ちゃんと話しましょう。お願いだから、家に帰ってきて。約束よ?」

「お前の言うことなんて聞くか!」

「翔平!」

必死の形相で俺の腕を掴んできた母親を俺は睨み付けた。

「お願いだから、話を聞いて!」

「――離せよ!!」

手を振り払ったものの、母親は食い下がる。

「離せっていってんだろ!?」

「離さないわ!あなたが悪いことをしているのを正せるのは母親の私しかいないんだから!」

イライラは最高潮に達していた。

どいつもこいつも話にならない。

沸き上がる感情はセーブできない。

カッと一瞬で頭に血が上ったのが自分でもわかった。

気持ちより先に体が動いていた。

俺は振り上げた拳を母親の頬に打ち込んだ。

母は仰向けのまま吹っ飛び、激しく尻もちをついた。

「翔平……どうして……どうして……」

頬に手を当てて声を震わせる母親の鼻からスーッと鼻血が垂れる。

それを手の甲で拭う母親の姿を何度も見たことがあった。

離婚する前、母さんはいつも親父に殴られて鼻血を出していた。

自分の右手を見つめる。

俺も同じだ。あのオヤジのDNAを引き継いでしまっている。

「……――渡辺さん!?ど、どうしたんだい!?」

物音を聞きつけた1階に住む70代の老夫婦が飛び出してきた。