イジメ返し3

「くそっ、早く開け!」

急いでいるせいで玄関扉の鍵穴にうまく鍵が入らない。

何とか鍵を開けて玄関で靴を脱ぎ捨ててリビングへ向かう。

どこに何がしまってあるのか、狭いアパート内のことは全て把握している。

一目散に母親の家計簿や通帳が隠してある棚を開ける。

何事にも几帳面な性格の母は1円単位で現金の管理をしている。

棚の中には数年分の家計簿がしまわれていた。

数冊引っ張り出してテーブルに放り投げる。

その中には俺が美波にケガをさせてしまった年の家計簿があった。

ページをめくり中を確認すると、あることに気が付いた。

「まさか……。嘘だろ、これ……」

毎月支払うものの中に毎月1万の使途不明金がある。

その1万円は美波にケガをさせた翌月から始まっていた。

『Aさんへ支払い』

その記述に心臓がドクンッと震えた。

まさかと思い翌年の家計簿も確認する。

すると、毎月1万円ずつAという人物に支払いをしていることがわかった。

「なんだよ、これ。なんなんだよ……!」

一番新しい物を確認すると、先月も支払っていた記録が残っていた。

6年間、毎月1万円美波の家族に支払っていたっていうのか……?

そんな……。こんなの嘘だ……。

慰謝料も治療費もいらないというから美波と付き合っていたのに。

我慢してきた。美波に何を言われようとずっと我慢し続けてきたのに。

俺の6年間は一体なんだったんだ。

ふざけんな。ふざけんじゃねぇよ!!!

俺の6年間を返せ!俺の自由を……全部返せ!!!

頭の中が沸騰したように熱くなる。

あまりの怒りにうまく息がすえない。

感情を抑えられない。想像をはるかに超える怒りが沸き上がるように口から溢れ出す。

「うわぁぁぁああああああああああーーーーーーーーー!!!」

家計簿を床に叩き付け、それを踏みつけると、俺は玄関扉を開けて外に飛び出した。