「翔平君、お願い。カンナに全部話して?カンナができることなら協力するから」
カンナは訴えかけるような目で俺を見つめると、そっと手を掴んだ。
その瞬間、カッと体が熱くなる。
「ねっ、お願い」
カンナは潤んだ瞳で俺を見つめる。
「実は――」
俺は中学時代の話や美波と付き合うことになったいきさつをすべてカンナに話した。
「そっか。そうだったんだねぇ。でも、もうそろそろ美波ちゃんから解放されてもいいんじゃないなかなぁ?翔平君だって自由に過ごしたいでしょ?」
「でも……俺だけの問題じゃなくなる」
美波と付き合うことになったことで美波の両親から慰謝料や治療費を請求されずに済んだ。
でも、もし別れたと知ったらあのモンスターの様な両親に過去を掘り返されて金を請求される可能性もある。
俺だけならば払えないと突っぱねればいい。
でも、母さんは違う。家に乗り込まれて文句を言われればバカ正直に払ってしまうはずだ。
「翔平君のママ、本当に美波ちゃんの両親に慰謝料払ってない?」
「は?」
カンナの言葉に目が点になる。考えたこともなかった。
そんなことありえないことだと思っていたから。
「カンナもねぇ、幼稚園の時同じようなことがあったの。ケガなんて大したことなかったのに大騒ぎしてパパとママからお金を巻き上げた。美波ちゃんの家族は昔からそういうのが得意だから」
「カンナの親からも……?」
「そうだよぉ。お金の為なら平気で嘘もつくし。だから、翔平君が美波ちゃんと付き合うことになったっていうだけで全てが丸くおさまるなんてちょっと考えられないなぁ」
カンナの言葉に嫌な予感がする。
ポケットの中のスマホがブルブルと俺をせかすように振動している。
「悪い。俺、用事思い出したから」
俺はカンナにそう告げると、屋上を飛び出した。



