イジメ返し3

岩城の両親の必死の訴えで、学校のイジメ調査が行われた。

調査なんて名ばかりでイジメがあったかどうか、匿名で任意のアンケートが一枚配られただけ。

結論は『イジメがあったとは認定できない』。

岩城が自殺したと大騒ぎしていたクラスメイト達も数週間経つと、岩城のことなどすっかり忘れて普段通りの日常を取り戻した。

『アイツ、我慢たりなすぎじゃない~?』

美波に至ってはこれっぽっちの罪悪感すら抱いていないどころか、自殺に
追いやったことをどこか誇らしげにしていた。

最低最悪な女と付き合ってしまったと自覚したと同時に、きっとこれから先もずっと何かにつけて目の下の傷のことで美波やその家族に脅されると予想がついた。


家に帰り玄関の扉を開けると、部屋は薄暗かった。

電気代を滞納していたせいでとうとう電気を止められてしまったんだろう。

『……なんだよ、これ……』

部屋中のものが散乱し、すべての引き出しが開けられ物が引っ張り出されている。

『お父さんが……うちにあるお金全部持っていっちゃった……』

母の頬には殴られた後がある。

『ごめんね、翔平……。ごめんね……』

泣いている母の横を通り過ぎて自分の部屋に入る。

自分の部屋の中も他の部屋と同じありさまだった。

親父は俺が昔から貯めていたなけなしの金もすべて奪い去っていった。

全部、奪われた。奪われてしまった。

目の前がカーっと真っ赤に染まり、、何かが心の中でパチンっと弾けた。

自分の中で、ずっと必死に守ってきた大切ななにかが壊れた瞬間だった。


ズルいことはしてはいけない。

そんな母親の教えを守った結果がこれだ。

自分を守れるのは自分しかいない。

奪わなければ、奪われる。力のない者は、いつだって奪われる。

俺は決めた。もう奪われる側にはならない。

奪う側になってやると。