イジメ返し3

バチンっという音が響きわたる。

隣にいた母親はあまりにも突然のことに驚き、固まっていた。

「アンタね!美波にケガさせたのは!!」

美波の母親は激高していた。

「男の癖に女に手を上げるなんていうのはねぇ、最低最悪だよ!?しかも、顔にけがをさせるなんて信じられない!どういうつもり!?」

上下黒いジャージ姿、そして裸足にスリッパ。

金色のショートカットの小太りのおばさん。

体中から漂ってくるタバコの煙にむせそうになる。

「すいません。俺の袖のボタンが当たってそれで……。あの、美波のケガは……?」

「目の下が数センチ切れてたんだから!これがもし目だったらどうなってた?数センチずれてたら失明しちゃったかもしれないでしょ?どう責任とるともりよ!?」

大声ですごんでくる美波の母親に、隣で立ち尽くしていた母親がハッとしたように助け舟を出す。

「この度は申し訳ありませんでした。治療費などこちらで……――」

「当たり前でしょ~!?何寝ぼけたこと言ってんのー!?うちの美波にはなーんの落ち度もないんだから!全部そちらの責任!とにかく、今日は帰って!あっ、それだけもらっておくから!あらっ、この袋ってもしかして和菓子~?次は洋菓子にしてよね!」

美波の母親は菓子折りの入った袋をひったくるように母から奪うと、俺達に背を向けて家に入ってしまった。

取り残された俺たちは呆然とその場に立ち尽くすことしかできなかった。