イジメ返し3

「いったぁ……!!」

美波が左手で左目の辺りを抑えた。

まるで涙のようにスーッとあごの付近まで血が流れた。

――まさか!!

ハッと自分の制服の袖に視線を走らせる。

学ランの袖ボタンが美波にぶつかってしまったようだ。

ボタンにはわずかに美波のファンデーションのようなものがついている。

「美波、わりぃ……」

ケガをさせるつもりなんてこれっぽっちもなかった。

ただ、手を振り払っただけ。傷付けようとかそんなことを考えたことなんてない。

思わず立ち上がり美波に手を伸ばすと、美波は「いたぁぁーーーい!!」と絶叫した。

思わず手を引っ込める。美波は肩を震わせて涙を流す。

その瞬間、周りにいたクラスメイト達が騒ぎに気付いて一斉に美波に駆け寄る。

「ヤバい、血が出てる!!」

「先生呼んできて!!」

「美波ちゃん、大丈夫?」

美波はうつむき、何も答えたない。

物々しい雰囲気に圧倒され、その場に立ち尽くすことしかできない。

「美波……俺……」

もう一度謝ろうとしてそう言いかけた時、背筋がゾクッと冷たくなった。

美波は笑っていた。肩を震わせて涙を流しながら。