イジメ返し3

あの日はきっと、人生の中で最も最悪な日だった。

朝早く、警察がやってきて離婚した父親が傷害事件を起こしたと知らされた。

現在も逃走中で、家の中を確認させてほしいと言われた。

親父のことで心労もある中、複数の督促状を手にため息をついている母親を見てどんよりと重たい気持ちを抱えて登校した。

電気代もガス代も滞納していたのは知っていた。

給料が出ると真っ先に支払いに充てる生活。

母親は自分の嗜好品は一切買わず、化粧品も使っていなかった。

「なぁ、生活保護ってもらえるんじゃねぇの?金がないならもらえばいいじゃん」

そう尋ねたこともあった。

母子家庭で金銭的に苦しいならば、生活保護費で生活すればいい。

けれど、母親はそれを拒んだ。

「生活保護は本当に困っている人がもらうの。どうしても働けない事情がある人。お母さんははまだ元気だし仕事もできるもの。安易な気持ちでもらっていいものではないのよ」

昔からズルいことはしてはいけないと教えられてきた。

その教えを母自身もずっと守り続けて生きてきた。