「ありがとう……。でも、汚れちゃうから……」
桃ちゃんは必死に手の甲で涙を拭う。
「汚れないよ。桃ちゃんの涙は汚くないもん」
「でも……」
桃ちゃんが何かを言いかけたタイミングでチャイムが鳴った。
カンナは渋っていた桃ちゃんにタオルを渡して微笑んだ。
「桃ちゃんは変わってないね。なんか……嬉しい」
「そうかな……?なんかそう言われると成長してないみたいで恥ずかしいな」
照れ臭そうに笑ったその顔は12年前のように可愛らしかった。
純粋で無垢な笑顔。美波とは真逆だ。
「でも、カンナちゃんだって変わってないよ。12年前も今も」
桃ちゃんの目を見れない。
「……ごめん、桃ちゃん。カンナ、もう行くね」
そう告げて、桃ちゃんに背中を向ける。
――ごめん、桃ちゃん。
心の中でもう一度謝る。
もうカンナは昔のカンナじゃないの。
桃ちゃんが知るカンナは12年前、ママと一緒に死んだんだ。
あの日から12年、ずっとこの時を待っていた。
「ママの仇、カンナが必ずとるからねぇ」
カンナは真っすぐ前だけを見据えて歩きながら、決意を込めて呟いた。
桃ちゃんは必死に手の甲で涙を拭う。
「汚れないよ。桃ちゃんの涙は汚くないもん」
「でも……」
桃ちゃんが何かを言いかけたタイミングでチャイムが鳴った。
カンナは渋っていた桃ちゃんにタオルを渡して微笑んだ。
「桃ちゃんは変わってないね。なんか……嬉しい」
「そうかな……?なんかそう言われると成長してないみたいで恥ずかしいな」
照れ臭そうに笑ったその顔は12年前のように可愛らしかった。
純粋で無垢な笑顔。美波とは真逆だ。
「でも、カンナちゃんだって変わってないよ。12年前も今も」
桃ちゃんの目を見れない。
「……ごめん、桃ちゃん。カンナ、もう行くね」
そう告げて、桃ちゃんに背中を向ける。
――ごめん、桃ちゃん。
心の中でもう一度謝る。
もうカンナは昔のカンナじゃないの。
桃ちゃんが知るカンナは12年前、ママと一緒に死んだんだ。
あの日から12年、ずっとこの時を待っていた。
「ママの仇、カンナが必ずとるからねぇ」
カンナは真っすぐ前だけを見据えて歩きながら、決意を込めて呟いた。



