「会いたかった。忘れたことなんて一度もないの。ずっとずっと……カンナちゃんに会いたかった」
そんな桃ちゃんのかすれた声を聞いてようやく気付いた。
桃ちゃんが泣いていることに。
ああ、そうだ。12年前もこうやって桃ちゃんはカンナを優しく抱きしめてくれたんだ。
ママがソファで倒れているのを見て絶叫しているカンナを後ろから抱きしめてくれた。
あのときのカンナは桃ちゃんの体温さえ感じられないぐらい混乱していた。
声の限り叫んだ。そうすることでママが生き返るかもしれないと思ったわけではない。
ただ、そうすることしかできなかったんだ。
悲しみと絶望を無言で耐える自信などなかったから。
……ダメ。思い出すのはやめよう。
あの時の感情がぐっと胸に沸き上がり、カンナは慌てて桃ちゃんの腕を解いた。
「桃ちゃんってば泣いてるの~?」
桃ちゃんの顔を覗き込むと、桃ちゃんはしゃくりあげながら涙を流していた。
「もー、桃ちゃんってば泣き虫さんだなぁ」
ポケットの中からタオルを取り出して桃ちゃんに差し出した。
そんな桃ちゃんのかすれた声を聞いてようやく気付いた。
桃ちゃんが泣いていることに。
ああ、そうだ。12年前もこうやって桃ちゃんはカンナを優しく抱きしめてくれたんだ。
ママがソファで倒れているのを見て絶叫しているカンナを後ろから抱きしめてくれた。
あのときのカンナは桃ちゃんの体温さえ感じられないぐらい混乱していた。
声の限り叫んだ。そうすることでママが生き返るかもしれないと思ったわけではない。
ただ、そうすることしかできなかったんだ。
悲しみと絶望を無言で耐える自信などなかったから。
……ダメ。思い出すのはやめよう。
あの時の感情がぐっと胸に沸き上がり、カンナは慌てて桃ちゃんの腕を解いた。
「桃ちゃんってば泣いてるの~?」
桃ちゃんの顔を覗き込むと、桃ちゃんはしゃくりあげながら涙を流していた。
「もー、桃ちゃんってば泣き虫さんだなぁ」
ポケットの中からタオルを取り出して桃ちゃんに差し出した。



