現場ではマオは私のことを「ヒカリさん」って呼ぶ。私もマオのこと、苗字で呼ぶ。何だか不思議な感じ。 今日はチサの話のことをボ~ッと考えてて、セリフが飛んで監督に怒られた。 ・・・・サイアク。 でも、今日は同じ時間に帰れる。それだけが楽しみだった。 なのに。 「ごめん、ちょっと明日の打ち合わせあるから、先に帰ってて」 大道具の裏で二人きりになったときに、マオに言われた。 「少しは一緒にいたいよ」 「ごめんな、ピカ」 私はこのとき何が起こってるかなんて知りもしなかった。