しかれども、この者は他の放浪者(アウトロー)と異なることは明瞭である。

 我の興味は増すばかり。

[しばらく、我と旅をしようではないか]

「その図体でか」

[ぬ]

 いくら我が小さめのドラゴンとはいえ、人間と共に歩くにはいささか大きいか。加えて我の純白の鱗は陽の光を反射しよく目立つ。

 仕方がない。久方ぶりではあるが、人間に化けるとしよう。

[しばし待て]

 我は目を閉じて集中した。さすがのシレアも、我の変身を見れば驚くだろうて。そんな考えを持ちながら、我は人間に化けた。

 壮齢で優美。長く艶やかな銀の髪、涼しい黄金色の眼(まなこ)にさぞ、シレアも見惚れているであろう。

 しかしどうだ。

 我が得意げに笑みを見せるも、さしたる驚きも見せず焚き火の調子を伺っているではないか。