それも当然やもしれぬ。一部のレンジャーは、伝え聞いたエルドシータの教えを心に刻み、良きレンジャーとなるべく心身を鍛える。

 それ故に、戦士と違って読み書きが出来、頭が良くなければならぬ。戦士のなかには頭の良い者もおるが、強さだけを求められ頭脳はさほど重要視はされぬ。

 当の商人は鹿の角よりもシレアの容姿に釘付けであったが、彼の者はさしたる事もなく淡々とやり取りをして終いである。

「もう行くのかい? 欲しいものがあったら割引するよ」

「今はない」

「そうかい。あんたらは目の保養になる。いやはや」

「機会があればまた頼む」

「あいよー。良き旅を」

 商人は別れを惜しむように、いつまでも我らの背中を眺めておった。

「そなたも罪作りよの」

「なんの話だ」