「後悔するのも遅すぎた」

 大きすぎる罪に耐えかねて、二つの集落はどこかへ移り住み、エルドシータの集落だけが残った。

「いくばくかの心痛か計り知れぬな」

 それでも残ったのは何故なのか。

「彼らはそれを恥とするのではなく、教訓とした」

 過ちから学ばなければ、なんのための失敗なのか。逃げていい過ちばかりではない。我らは試されている。

「そうして、今のエルドシータがある」

「それでこそである」

「失敗しなければ次に進めないというのは、未熟な種族の証か」

「そなたはどう思う」

「解らない」

 エルフもドワーフもそれを繰り返して今があるのか、それとも──

「難しきところよの」

 ロデュウだけでなくエルフ、ドワーフも繁栄の終わりに差し掛かっている。それらを受け継ぐのは、紛れもなく人間だ。

「人間は果たして、受け継ぐに値する存在なのか」

「それは誰にも解らぬ」

 時間だけが、結果を知る事となる。

「そうであることを、私は願っている」