手際よく鍋に食材が入れられていく。なんとも良い匂いが立ちこめてきたではないか。残りの肉は干すために平たく成形し、塩をまぶして網を広げそこに肉を並べておる。

 我はふと、弓に目を留めた。

「それは、そなたらの弓か。材質は」

「エルディリアウッドだ」

「やはりそうであったか。弦(つる)は」

「光り蜘蛛の糸を編んで作った」

「なんと!」

 洞窟に棲む、ほのかに光る蜘蛛の糸を編み込んでおるのか。あやつの糸は一本でも強靱で人間の子どもを浮かせるほどだ。

 しかし排出される量は少なく、見つけるのも困難である。

 エルディリアウッドも辺境の一部でしか生えておらぬ。広葉樹で地に広く根を張り、春には白い花を咲かせる。

 山のようにとても大きくなる木だ。木材にしたならば湿気に強く耐久性に優れ柔軟である。