「それは独学であるのか」

 これは驚きである。剣術なれば相応には覚えもしよう。

 しかれど、魔法はそういう訳にはいかぬ。

 言葉の意味を知るだけでは強い魔法とはならぬ。

 理解を深めれば深めるほどに魔法は強くなり、発動も速くなるものである。

 名のある魔法使い(ウィザード)の弟子となり、学ぶ事で強い力を得ようとする者も少なくはない。

 先日に見た魔法は、すでに熟練した魔法使い(ウィザード)と大差ないほどの力を持っておった。

 この歳で師もおらず、独学であれほどの力を持っておるとは、この者の素質は計り知れぬ。

「そなた、何者だ」

「知らん」

 人の話を聞いていたのかと顔をしかめた。