「…なんか、天海先生は、他の女と違うね」
不意にそんなことを言われ、思わず首を傾げる。
「そう、ですか?」
そりゃ、きゃぴきゃぴした女の子らしい女の子じゃないかもしれないけど、そんな面と向かって言われると、なんか悲しい。
その気持ちが顔に出てしまっていたのか、辻先生があわてて首を振った。
「悪い意味じゃなくて」
なんかさ、と辻先生がまた窓の外を見る。
空は、どんよりと曇り始めていた。
「女って、ちょっと笑えば勝手に惚れてきて、ちょっと褒めれば勝手に惚れてきて。そんだけで告白されると、おまえ俺のどこ見てんだよってなるし、そう伝えれば勝手に泣いて、こっちが悪者みたいになるし、なんか苦手なんだよ」
……顔が良い人は大変ですね、と思わず言いそうになり、あわてて口をつぐむ。
私はあいにくそんなにモテないし、そんな大変な恋愛を見たこともない。
「……そうなんですか」
でも、ちょっとわかる気がする。
東京の高校では、みんなけっこう積極的でびっくりしたし、合コンもまあまああった。
私も誘われたら参加してたけど、ああいう空間はあんまり好きじゃなかったかな。
東京で彼氏がいたこともあるけど、そんなに長続きしなかったし。
「うん。だから、さっき俺が天海先生のこと綺麗だって言ったのに、愛想笑いを返されたのは意外だった」
そう言った辻先生が、笑って私を見た。
「天海先生とは、上手くやれそう」
ふわり。
優しく、自然な笑顔。
さっき店員さんに向けたような、作った笑みじゃなくて。
「……ありがとうございます」
それが何だか嬉しくて、私も心から笑って返す。
認めてもらえたような、くすぐったい気持ち。
辻先生が目を見開き、それからふい、と顔をそむけた。
え、と思わず漏らすと、何にする?と素っ気なく聞かれる。


