「はい。唯ちゃんはこれを持って。」

「ええっ~!
唯もっと持てるよぅ~。」

今日は四人と先生と一緒に海水浴。

2台の車で、家から二時間も離れた日本海へ。

穏やかな太平洋と違って、波も高いし……ちょっと怖い。

早速水着に着替えて、荷物を運んでいたら

過保護な先生が、軽いものしか持たせてくれないの。

「あぁ~あああ!熱い!」

「今日一日、二人に当たられながら過ごすの~?」

「唯ちゃんに荷物を持たせない分、先生しっかり運んでよ」って

ついた早々からかわれる。

クーラーボックスを軽々2つ持って歩き始めた先生に

まだ文句を言ってた海晴ちゃんが急に

「あれっ?」って声を出して………唯を見つめる。

「うん?……何?」

訳が分からず聞き返すと

「ええっ!!なんで??
"先生との初めての海!"
『水着に恥じらう唯ちゃん!!』っていうのを想像してたのに~
何で、全然平気なの??」

鋭い指摘に、ドキドキしてたら

「あぁ~!ホントだぁ~。あっやしぃ!」って

夏苗ちゃんも騒ぎ出して

さすがの彩ちゃんまで、驚いて大きく目を見開いてる。

「あっ、あの…恥ずかしいよ。でも、ほらっ。
まだTシャツと半パンはいてるから…。
この格好は…園のプールやお泊まり保育でも……」

「ふぅ~ん。そっかぁ~」

疑ったような目が痛い…。

「こ~ら!早く運んで泳ぐよ。」

二人の頭をポンポン叩いて、先生が声をかける。

…………………………………。

うわぁ!!

先生がTシャツを脱いだぁ~!!

思わず赤くなった唯に

「な~んだぁ。やっぱり、赤くなるんだぁ!
見られるより、見る方が恥ずかしいのかぁ~」って

すっかりからかいモードに入った三人は、おおはしゃぎ。

水着になってない唯は大丈夫でも

海パン姿の先生は、恥ずかしいに決まってる。

「これでこそ、唯ちゃんと来たかいがあるってもんよね!」

「さぁ~‼念願も叶ったし、サッサと運んで泳ごう!!」

すっかり調子を取り戻した四人は

テキパキと運んで、パラソルの下に移動した。

四人がいなくなると、急にいじめっ子の顔を覗かせて

「ねぇ~唯ちゃん。今日もあのピンクの水着?
初めての設定なんだから、ちゃんと恥じらうんだよ。
出っ来るかなぁ~!!」

もぅ!!大丈夫です。

無理して恥ずかしがらなくても、十分恥ずかしいもん。