漢江のほとりで待ってる


二十歳になった由弦へ。

由弦、成人おめでとう!

今傍で、絵を描いてるあなたを見ながら、手紙を書いています。

どんな口調で書けばいいのかしら?

五つのあなたが、どんなふうに大人になったか想像もつかないけれど、きっと、父親譲りで、知的で男前な、優しい男性になってるかしら?

でも本当に、あなたのお父様のように、いつも笑顔を絶やさない優しい男性になっていると願っています。

優しさは強さの証だから、特に、小さい子、お年寄り、女の子には優しくしてください。

ママはね?とっても幸せだったのよ?

あなたのパパに出会えて、あなたが生まれて来た。

ママもパパもどんなに嬉しかったか、パパなんて泣いてたんだから。

あなたがころころとよく笑う声、笑顔にどんなに癒されたか。

ママはあなたがいるだけで全然寂しくなかった。

由弦?誰にどんなことを言われようと、あなたは愛されて生まれて来たんだから、自分を卑下しなくていい、胸を張って生きて行ってください。

例え、どんな境遇に置かれても、誰も恨まないで?

相手を許せる、心の広い男の子に育ってほしい。

ママの願いは、それだけ。

ううん、違うかな、贅沢を言えば、ずっとあなたの傍で、ずっと由弦の成長を見ていたい!

傍にいられないママを許して。

二十歳の由弦、どんな声をしてるの?

どんな女の子が好きなの?

由弦の初恋は?

学校は楽しい?

嫌いなものは克服できた?

相変わらず、おにぎりが好きかしら?

いつか、パパとママ、由弦の三人でお出掛けしたとき、広場で、おにぎりを頬張るあなたを思い出す。

ママの握ったお握りが一番好きって。

あの笑顔はママの宝物よ。

あなたは、ママとパパの子だから、強くたくましい男の子になれる、だからどんなことがあっても切り抜けられる。

絶対に大丈夫!

男の子は泣かない!

いつもママと指切りしてるものね?

お絵描きの上手な由弦、いっぱい、いっぱい描いて、たくさんの人を幸せにしてあげてね?

あなたには、その素質がある。きっとお爺様譲りよ。

ママとの思い出は途切れてしまうけど、この先、好きな人ができたら、その人とたくさんの楽しい思い出を作って行ってください。

その人に素直な気持ちで向き合って、後悔することのない人生を歩んで行ってください。

最後に、

由弦、ママの子に生まれて来てくれてありがとう!

ママは由弦に巡り合えて、ママの人生、とっても幸せだった。