「由弦、私と一緒に韓国へ行かない?」

突然の彼女の言葉に驚く由弦。

珉珠にしたら、唐突的発言でもなく、突発的に思い付いたものでもない。

もうずっと前から考えていたことだった。

「母に会ってほしいの。私の育った故郷を、あなたと歩きたい。それと、あなたと行きたい場所があるの」

すぐに返事をしない由弦。煮え切らない態度。

珉珠には分かっていた、なぜ由弦がそんな態度を取るのか。

以前慶太と故郷へ帰ったことを、由弦は気にしている。

「言い訳に聞こえるかもしれないけど、あなたのお兄様と帰ったのは、半ば強制だった、殆ど脅しに近い。その時の副社長(慶太)は、私の気持ちより、ご自分の目的を達することしか見えていらっしゃらなかった。あなたに危害を加えさせないためにも、あの時は、あなたも母も守るためには従うしかなかったの。でも由弦にしたら、気分のいいものじゃないわよね。でもね?あなただから、私の意志で一緒に帰りたいの。あの時とは全く違う感情よ?」

「分かってるよ。オレはずっとあなたと初めてのものは何一つない!ってひがんでた。兄貴が全て奪って行ったから。だから余計、あなたとはどこにも行かないし、誕生日も一緒に祝わないって思ってた。でも初めてのもにこだわるより、楽しい思い出を、あなたとこれからたくさん作って行きたいって思うようになった。だから一緒に行くよ。あなたのお母さんにも会いたい」

思いがけない由弦の言葉に、珉珠は胸がいっぱいになり、目を潤ませた。

それから二人韓国へ。